「幸せの交差点」と私たち夫婦が勝手に呼んでいる場所がある。
なぜか、そこの交差点を通る人たちは、みんな幸せそうに見える。
笑いながら歩く家族連れだったり、真剣に語り合うカップルだったり、交差点の木々を見ながら休憩するお年寄りだったり、ふざけながら走り回る小学生だったり。どの時間に通っても、なぜかいつも人がいて、いつも笑っている。都会の駅で見かけるような、疲れたサラリーマンとか、きつい目をしたOLとか、そういう人は見たことがない。
私たちがここの近くに住もうと決めたのは、この交差点が好きだからというのが理由の一つだ。
夫婦でここを歩くたびに、考える。
「私たちは、幸せそうに見えているのだろうか」と。
幸せな笑顔を見るたび、私は笑顔だろうか、と思わずチェックしてしまう。
笑顔じゃなきゃ、歩いちゃいけないような気さえするのだ。
結婚してから、幸せってなんだろうとずっと考えてきたような気がするけれど、他人が「幸せそうだ」というのは、意外とすぐに分かるものなんだな、と気づいた。